補題:新しい関数“Cr(Ω)”を定義する 定理(*C)の証明
補題:新しい関数“Cr(Ω)”を定義する - Plus Le Toolの定理(*C)の証明。
今まで証明がなかったものをさきさんが証明してくれました。ありがとうございます!
この記事ではさきさんの証明を参考にしつつ、しかし同じこと書いても2番煎じなので別路線で証明してみた。
[id:plusletool:20130612:p1](*C)再掲
, のとき、次の式が成り立つ。
【証明】
とする。
または [tex:n
- の項のみから来た因子( 個)
- の項のみから来た因子( 個)
- , の両方の項から来た因子( 個)
個の因子のうち、どれがどの項から来た因子かの組み合わせの数だけ、 が計算過程で現れるはずだ。
その回数を とすると、 が の係数 になる。
さて、 の係数 を求めるために、まず について考える。
個の因子 , ,……, のうち、 個が の項から来た因子である。 個の因子から 個を選ぶ組み合わせは 通り。
この 個の因子のうち、 個が の項のみから来た因子である。 個の因子から 個を選ぶ組み合わせは 通り。
よってその組み合わせの総数 は、
(*1)
(※これがさきさんの書いた(*)式である。)
(*1)より、係数 は の選び方に依存せず、因子数 のみによって決まる値であることが分かる。
言い換えると、 から一定数の因子を選んで論理積した項の係数は、因子をどのような組み合わせで選んでも になる、ということだ。
そしてすべての「因子の選び方の組み合わせ」について排他的論理和したものとは、まさに に他ならない(∵ の定義より)。
よって(*C)の左辺は次のように展開できる。
(*C)再掲
(*2)
よって命題(*C)が成り立つための必要十分条件は、次式が成り立つことである。
(*3)
両辺の係数を辺々比較して、
(*4)
より、(*4)は(*5)と同値である。
(*5)
「『 が奇数』⇔『 』」
これが命題(*C)が成り立つための必要十分条件である。
以下、 が奇数になる条件を調べる。
ここで定義を1つと補題をいくつか。
(※定義や補題の中で使う文字は、外で使われている文字とは無関係なことに注意。)
ただし、
と表せるとき、整数 を「 の“ の指数”」と言い、 で表す。
【例】
, , , , ,Q.なんで なの?
A.なんか っぽいじゃん?
(*7)補題の補題の補題の補題の補題・その1
自然数 ,整数 ,素数 について、 , のとき、次式が成り立つ。【簡易証明】
より、 は自然数 を使って と表せる。
このとき より なので、式 は の素因数分解を表している。
よって の定義より となり、題意成立。
(*8)補題の補題の補題の補題の補題・その2
自然数 ,整数 ,素数 について、 , のとき、次式が成り立つ。[tex:L_{p}\left(n\right)=L_{p}\left(n-p^{k}\right)
(*9)補題の補題の補題の補題・その1
自然数 ,整数 ,素数 について、 のとき、次式が成り立つ。(※ の値域は通常は「0以上 以下」だが、ここでは「1以上 以下」とする。通常の と区別するために下線を引いた。)
なお、等号成立条件は である。
【簡易証明】
(*7)(*8)を繰り返し適用すればよい。
(*10)補題の補題の補題の補題・その2
自然数 ,素数 について、次式が成り立つ。【簡易証明】
の定義より明らか。
(*11)補題の補題の補題・その1
自然数 ,整数 ,素数 について、 のとき、次式が成り立つ。【簡易証明】
とおくと、よって(*9)より となるので、題意成立。
(*12)補題の補題の補題・その2
自然数 ,整数 ,素数 について、 , のとき、次式が成り立つ。【簡易証明】
(*10)より である。
(*7)より であり、また同じく(*7)より なので、これと(*10)(*11)を使うと、となるので、題意成立。
(*13)補題の補題
自然数 ,整数 ,素数 について、次式が成り立つ。なお、等号成立条件は である。
【簡易証明】
(*11)(*12)より明らか。
(*14)補題・その1
素数 ,0以上の整数 について、次式が成り立つ。なお、等号成立条件は「0以上の任意の整数 について、 を満たす が 個以上存在しないこと…(※1)」である。
【簡易証明】
と変形できるので、(*10)より、ここで について、 , とすれば(*13)を適用できて、
(※等号成立条件は「 すべての について が成り立つこと…(※2)」)
よって、ひとまず等号成立条件を無視すれば、与式は成り立つ。
いま、条件(※1)満たすとき、 のように の添字を選んでおけば(※そう選んでも一般性を失わない)、 [tex:0
(*15)補題・その2
素数 ,0以上の相異なる整数 について、次式が成り立つ。【簡易証明】
(*14)より明らか。
(*16)補題・その3
0以上の整数 ,素数 について、次式が成り立つ。【簡易証明】
(i) のとき、
より、 となり、与式は成り立つ。(ii) のとき与式が成り立つと仮定する。
と変形できるので、(*10)(*11)(*12)より、よって仮定より となり、 のときも与式は成り立つ。
以上(i)(ii)より、任意の0以上の整数 について与式は成り立つ。
さて本題に戻って、 が奇数になる条件を調べる。
の偶奇を調べるには、 と の大小関係を調べればいい。
このとき、(*1)「 」より は自然数なので、 [tex:L_{2}\left(k!\right)
(*10)再掲
よって『 が奇数』と『 』は同値である。
(*17)
『 が奇数』⇔『 』
次に、 , , , をそれぞれ次のように二進展開する。
(*18)
ただし , , , は整数で、
すると、(*15)より、(*19)が成り立つ。
(*15)再掲
素数 ,0以上の相異なる整数 について、次式が成り立つ。
(*19)
また なので、(*18)より次式が成り立つ。
(*20)
ここで次のように場合分けする。
(I) の場合
このとき となる。
よって(*19)より、次式が成り立つ。
(*21)
(II) の場合
は の二進展開であり、二進展開は一意なので、次のことが言える。
(*22)
の中に、同じ値が少なくとも1組以上存在する。
これと(*18)(*20)(*14)(*19)より、(*23)が成り立つ。
(*18)再掲
(*20)再掲
(*14)再掲
素数 ,0以上の整数 について、次式が成り立つ。等号成立条件は、「0以上の任意の整数 について、 を満たす が 個以上存在しない」こと。
(*19)再掲